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  「秘密」シリーズについて

 
 
 清水先生の最新作、「秘密」シリーズ。
 最新作であり、「最高傑作」とも言われているシリーズでもある。
 
 「秘密1999」は、米大統領の暗殺事件で、舞台はアメリカ。
 「秘密2001」「秘密2002」は、「秘密1999」の5年後、2060年の日本。薪と青木の所属する「第九」 が舞台としたシリーズです。
(2000年には「秘密」シリーズは発表されていません。)
 
 「秘密」シリーズは、3作とも別の意味で好きです。
 「1999」はその美しさ、切なさに。
 「2001」は、その衝撃に。
 「2002」は、人の心や夢の不可思議さに。
 3作とも全く違うイメージなので、どれが一番とか言いにくいですね。
 特に「2002」って、本当に新しい世界だと思いました。
 
 コミックス版は、A5サイズのジェッツコミックスなので、入手がちょっとむつかしいかも。
 というか、発売直後は売り切れ続出。入手が非常に困難で、即再版したけれどそれでも間に合わず、掲載誌「メロディ」誌上で、異例の「おわび」まで、掲載されました。 
 
 
 


 
 
  「MRIスキャナー」について

 
 
「例えば、今夜のヨル、あなたが強盗にあって殺されたとしたら。死亡後10時間以内にあなたの死体から損傷のない脳をとり出し、MRIスキャナーにかけ、生前と同じ状態に保ち、一定の電気刺激を与え、脳を120%働かせ、そうしてあなたが生前に「見て」いた映像をスクリーンに映し出す。−−−−殺される前に見たあなたの見たもの総て、あなたの見た強盗の顔、強盗にあう前に見た景色。人‥‥叉は凶器‥‥さらに遡って、今あなたの見ている私や−−−そのカメラマンの顔も、総てMRIスキャナーで再現して捜査員が見る。‥‥そうしてあなたを殺害した「犯人」を、−−−−あるいは自殺した理由をつきとめる。MRI捜査とは、そういう捜査方法のことです。(「秘密」1巻P80より)」
 
 
 
 「秘密」シリーズは徹底的に、人間の「視覚」にこだわって描かれている。ビデオテープではなく、「人の脳」によって見られた視界だ。
 
 
「その脳にうつし出される映像はそれぞれ違う。(同じリンゴでも)君の見ているリンゴと僕の見ているリンゴは同一ではない。(「秘密」1巻P26より)」
 
 
  「人間」のその視界には人の感じ方によって「より美しく」あるいは「より恐ろしく」見える。
 本人にしかわからない、その人の視界。それを第三者が、「死者の脳」としてMRIスキャナーで見るのが、「秘密シリーズ」である。
 ふだん何とはなく見ている「視界」。でもそれはその人の脳の見ているその人唯一の「視界」なのだ。
 
 
 発表されるたびに機能もふえてくる「MRIスキャナー」。  
 「MRIスキャナー」の深さは、人間の視界(視覚と脳)の問いかけの深さでもある。

 

清水玲子「秘密−トップ・シークレット−」
(A5版・ジエッツコミックス。)
月刊「メロディ」掲載
 
2002.7/27(土)

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