「ティルト」
好きですね。(セツと同位1番好きなキャラ)
「月の子」と出会った頃、私は自分を憎んでました。許せませんでした。だからティルトの気持ちがよくわかる。
そりゃ、地球滅ぼしたり人を殺めたりは出来ないけれど。
私もティルトのような愛しかたしてたから。
好きになるものはたいてい自分の憧れるものだったし。
1つのものを見てたら他のものは見えなくなるし。
そんなティルトを見ていて。ティルトを愛せるのなら自分も愛せるかもと。昔の話です。
ティルトの話に戻しましょう。
3つ子のなかで一番大きくてしっかりしてて、セツにも「ティルトが一番に女性化すると思うよ」と言われて、でもプライドの高さゆえ、「オレもそう思ってたさ」としか言えないティルト。
リーダー格で世話係なのに、決して「人魚の悲願、最大の願い」である自分の子孫は残せない。
ただ1人女性体になれたベンジャミンは記憶喪失になり、ジミーとして、「タブーの人間」アートの元でぬくぬくと暮らし、女性化を拒否し、「卵なんか産まない」と言う。
セツはセツでジミーが生きている限り女性化は出来ないし、ジミーを守ろうとしないティルトに不安をいだき、生きることを拒否する。
何も残せないティルトが最もおそれているのは、忘れ去られること(だと思う) 。
ジミーはさっさと記憶をなくし、セツまで死んでしまう。
女性体を守るためだけに存在するティルトにとって、それは生きる意味を失うこと。
誰かが‥‥以前、「ティルトは自らの女性化より、セツが生き返ることとセツの女性化を望んだから好き」と言ってました。
魔女と契約したティルトは、「セツを生き返らせること」と「セツにショナの卵を産ませること」と引き換えに、「地球を滅ぼす」ことを約束する。
その時は気付いてはいなかった。そのためには、セツをショナに抱かせなければいけないという、意味を持つことを。
セツはセツで、ティルトが何故行方をくらましたのかわからない。ティルトはいつも勝手に自由に行ってしまう。そんな時ショナがセツに手をさしのべる。
セツはティルトから自立しようとする。そのことにティルトは傷つく。
今まではセツにとってティルトが全てだったから。
ティルトの計画はセツへの愛ゆえに何重にもティルトを苦しめる。誰に怒ればいい?
全てはベンジャミンのせいだ。
そうして「地球滅亡計画」に「それはベンジャミンとアートのせい」と付け加えるのだ。
契約によって、ギル・オウエンの体に乗り移ったティルトには、もうティルト自身の肉体は残されてはいない。
そこで出てくるのがリタである。
勘が良く、聡く、善良なリタ。
「元のギル」を愛しているリタ。でも利用出来る「力」がある。
セツを愛している。でもそれを告げることは出来ない。今のセツとの関係を守りたいから(だと思う)。
セツをひたすらに求め、セツだけを愛し。
なのに「セツにショナの卵を産ませる」と、ティルト自身が全てを捨てて決めた。
愛ゆえの矛盾。
苦しい‥‥苦しい‥‥苦しい。
それをリタに見抜かれた。理由までは気付かれなかったが。
【コミックス10巻P131/文庫版6巻P265】
「私は嫌です。あなたが悪いことをして苦しい思いをするのは」
悪いことをするのは平気、手を汚すのは平気‥‥のつもりだった。
でもリタに、人間のリタにそう言われる。見透かされる。
それはティルトのプライドが許さない。
「全てはベンジャミンのせい」。
憎しみと愛情の交錯。
たまに‥‥ティルトは、本当の意味で未成魚だから恋が出来なくて、セツを守ることしか出来なくて、本当の意味ではセツは未成魚ではないから、ショナを愛せたのではないのか。そう思う。
あやつってたたのはティルトなのか? それともあやつられていたのはティルトのほうなのか? 魔女に、あるいはセツの運命に。
予知夢は本当に単なる予知夢なのだろうか。それを利用するティルトは、運命に翻弄される。
ティルトが愛しくてたまらない。
(あと、このシーンがギルの外見じゃなくてティルトの顔で見たかったのって一杯ある。すっごく残念。)
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