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「秘密―トップ・シークレット―」(1999版)
(花とゆめコミックス『WILD CATS(1)』に収録)
かつてのSFの世界だったものは、もう今現代のすぐそばに来ている。携帯や画像付き電話、インターネット。コンピューター世界。ロボットに近い犬も市販され……。
『秘密』は今から50年後に設定された話だ。でもこの作品で描かれるマスコミの恐ろしさは、今と少しも変わらない。いや、さらに空恐ろしくなる。過去に見たもの=考えたもの(視覚で感じたもの)を全て見られてしまう。プライバシーのない世界。
命を賭けて守ろうとしたたったひとつの『秘密』さえもあばかれる。もう少し、もう少しといっているうちに、歯止めの効かなくなった、世界。
ケビンは最後に、愛する人と別離することで、自分の「聖域」を守ろうとするが、たとえ、「見ることの聖域」は守られたとしても、本当に彼の「聖域」が守れるかどうかは定かではない。
SFは現実になっていく……。
個人的には、ロス君を見て、「『月の子』のティルト」を、今の清水先生が描いたらこんな感じかと…(ロス君は男ですが)、めちゃうれしかったです。(殴)
(その後「秘密1999」は、「秘密・1巻」(白泉社ジェッツコミックス)に、収録されました。)
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