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       ティルトは男になりたかったのか女になりたかったのか。 
        どうなんだろう。未だ答えは出ない。 
        セツのように美しく汚れのない女性になりたい。 
        セツを守る存在(男)になりたい。 
        女性になれなかったコンプレックスで、彼は、男性を演じているのか。 
        どちらにしろ、セツよりずっと悲劇。あきらめて望んでいないから。 
          
        確かに私は結婚はできないだろうし、恋愛もこわくてできない。 
          
        でも、ティルトの孤独は、そんなもんじゃない。 
          
        子孫を望み、それだけの生と思い込まされた幼少時。 
        すべての元凶はサラとミラルダなのだ。 
        なんで、「絶対に女性になれない」ティルトに、 
        「もう少し大きくなったらあなた達は、(中略)美しい女性になって、 
        そして“恋”をするのよ」(コミックス4巻P10/文庫2巻P248) 
        なんて言えるの?  
        子供を産めないからセツとベンジャミンを守るためだけの存在と 
        思い込ませるの? 
        (そもそもサラとミラルダは、3人のうち1人しか、 
        女性化できないってこと、知らなかった・・・・・・?) 
        すべてはサラとミラルダが生んだ悲劇。 
          
      ギル・オウエンとしてロシアでセツと再会したとき。 
        (コミックス11巻P71/文庫7巻P111) 
        ティルトは、いくらでも、セツを自分のものに出来たはず。 
        でもやったのは――リタと寝る事。 
        それがセツのためだとしても。 
        人魚にあるまじき行為。あってはならないはずの。 
        3つ子は半分人間だから。 
        どうして、もっと自分を大切にできない? 
        セツが大切なら、このセツを女性化させる計画自体が、 
        本当はセツが知ったとき一番苦しみことだよ。 
          
        セツがどこまで知っていたのかは、明らかにされていないが。 
        すべてを乗り越えて、子供を育てたと、信じたい。 
       
        (2006.1/15)  
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