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月の子総論
1.たったひとりの時、出会った人

 

月の子供達は、たった一人残された中、
ただひとり救ってくれる人と出会う。
 
ジミーもティルトも孤独だし、セツもいきなりジミーとティルトに
置いていかれて残されちゃうわけでしょ。
ずっと、ティルトとセツに置いてきぼりで孤立していたジミー
(ティルトは、ジミーを憎んでいたし、セツもティルトが一番でしょ)。
ジミーはすべての記憶を失って、自分の欲しかった家族のアートと出会い。
むしろ、ジミーは、
過去を記憶を捨てたかった・・・? あまりにも寂しかったから。
ティルトはセツさえいて欲しくて、
セツを生きていかせるために地球を滅ぼす方を選んじゃう。
(ティルトにはこれにリタという存在も加わるのだけれど)。
セツはセツで、助けてくれたショナに恋をしてしまう。
「でも、僕は彼の望むような女性になっていない」。
「あのボーヤまるでヒヨコのようね」
(コミックス1巻P23/文庫1巻P27)
 
3人とも、ヒヨコ。
最初に出会った人にひたすらついていっちゃう。
そして、「アグリーダック(みにくいアヒル)」
(コミックス5巻P147/文庫3巻P281)なんだよね。
3人とも白鳥よりアヒルの自分を選んで欲しい。

ティルトも、「ギル」ではなく「ティルト自身」として
愛されたかったと思うよ。
リタは、「むしろそうなって(人が変わったようになって)からの
方が私は好きでした」と。(コミックス13巻P102/文庫8巻P199)
ティルトのセツへの愛も、リタのギル(ティルト)への愛も、
怖いくらい一途。
ティルトの願いは、最高の形として叶うのよね。
「セツの子として産まれる」。ティルトという名で。
この物語は、「血」の物語であって、前世モノではないのだけれど、
セツの子供ティルトだけは、ティルトの転生であって欲しいのよね。
「ショナの血で3つ子のにごった血は浄化された」
(コミックス3巻P63/文庫2巻P111)はずだし。
 
リタも、ティルトを救ったと思うよ。
本当にどうでもよかったら、残された時間も無いのに、
わざわざあんなめんどうな芝居して米国に送り返さないでしょ。
生きていて欲しかったからでしょ。
でも、リタが怖いの。そして、リタを愛してしまう自分が怖いの。
それを決して認めることができないの。
セツというキレイなものだけを愛していたいから、生身の愛が怖いの。
 
何かの本で読んだけれど(たぶんマンガだと思う)
「双子はもう一方の相手を救えない。相手も自分であるから」
みたいな言葉が、あって。
それが正しいかどうかはわからないけれど、強烈に心に残ってる。
セツとショナがロマンティックな愛の中、
ティルトとリタは妙に生々しい愛へいっちゃうのね。
そして私には果てしなく(精神的に)百合に
見えてしまうのだけれど・・・・・・(汗)。
ティルトはベースは女の子になれなかた中性と、私は思っているので。

(2006.1/15)

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『月の子−MOON CHILD−』 清水玲子
花とゆめコミックス全13巻/白泉社文庫全8巻

 



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