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露口絹子(『秘密2003』)


 

(この文の下書きは2005年8月、『秘密・岡部編』を読む前に書いたものです。)
 
 
最後に青木の流した涙。
 
あれは、平井少年と犬を救ってあげられなかった涙とも思っていた。
『メロディ』掲載時には。
でも、コミックスで4Pの加筆があった後では、

    (加筆についてはこちらを参照してください) 
     第22夜 「たった4Pの真実」(秘密2003) 
 
時間的におかしいし、絹子が自供するとも思えないが、
5年以上前の、絹口死刑囚が実娘絹子を性的虐待をしたけれど、
それは数年以上前だったので、
(MRIが見れるのは5年前まで。それ以前は見るのは不可能)
青木は見ることができなかった。
その心の傷のせいで絹子は父を憎み、事件を起こした。
青木はそれを知らなくて事件を暴いた。
さまざまな悲しみ、苦痛をうんだ。その涙のように思えてしまうのだ。
これからの捜査は第九の管轄外であるが。
 
『秘密2003』も、解釈によって、幾通りもの見方ができる。
『メロディ』掲載時には明らかにされていなかった絹子の過去、絹子の動機が、
コミックスで明らかにされたのだ。
絹子が狡猾で父を利用したのか、それとも結果的に第九と対峙したが、
第九対策を幾重にもはするつもりがなかった、ともとれる。
 
父絹口死刑囚の罪は重い。
父は結局、絹子を守りたかっただけではなく、
自分の罪を告発されるのを恐れていたのかもしれない。
 
真実を暴く。でも青木は、本当に正しかったのか?
 
5年以上前は見れなかったのに?
 
いろんな意味で、MRIスキャナーの限界にぶつかったストーリーだった。
青木はもし行方不明の青年惨殺を知らなくて、
露口死刑囚の絹子への性的虐待を知っていたら、
露口死刑囚を弁護するかのように、捜査し、絹子の罪を暴いたろうか?
 
とても悲しい「秘密」だった。
父を理解しようとしてさらなる父の罪を知らない。
絹子をまるで悪女のように思い、絹子の悲しみを知らない。動機を知らない。
 
第九が告発した後は、第九の管轄内ではない。
 
そして少女だった絹子はたくさんの男を殺し、
そしてまた、平井少年と彼の愛犬ZIPを殺した。
 
青木は少年を見つめる犬のZIPの視界を見て、
何を泣いていたろう。何を悔いていたろう。
 
青木は精一杯やった。それでも彼が正しかったかどうかは、わからない。
青木が考えていたとおり、罪を犯した人にも、
たくさんの悲しみがあったのだと。
 
 
(現在の見解は、この下書きをノートに書いた8月の段階とは
 異なります。
 心のログとして、この文を記します。)

(2005.12/2)
 

「秘密―トップ・シークレット―」清水玲子 1〜2巻以下続刊
白泉社ジェッツコミックス(A5版)



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