『月夜水の詩』HOME > 『秘密』の入り口。』 > 『秘密』の中に眠るもの。〜過去作品とのつながり〜

 


   

『秘密』の中に眠るもの。〜過去作品とのつながり〜

 

『同盟朋』の名簿や、『秘密』ブロガーさんのブログを読んでいて。
そして、以前、『秘密』Blogが増える前にまわっていた
様々な方の様々なブログを読んでいて。
『秘密』は、新規のFan層を獲得したと同時に、
以前清水作品が好きで、『秘密』でまた帰ってきたFanの方が、
とても多いことを強く感じます。
 
 
10代、20代の時、清水作品が好きだった。
30代で『秘密』を読み出して、またはまった。
そういう方は、とても多いのだ。
そして、『秘密』は、大人の女性がターゲットである。
『秘密』をあえて、大人向けにした。
それは、元少女漫画好きで、でもありふれた少女漫画や
幼いテーマに飽きた、舌が肥えてしまった、
そういうニーズにも応えたけれど。
人は年を重ねる。15年前、20年前少女だった人は、
今は30代になっているのだ。
その、「時間」が、とても上手く組み合わさっていたのだと思う。
 
多くの作家は、ターゲット層を変えずにいる。
でも、『秘密』は偶然かもしれないけれど、
Fanのニーズと好みとともに、テーマごと成長していたのだ。
 
元清水Fanにとって、『秘密』はこたえられないほど、魅力的なのだ。
昔好きでまたコミックスを手にし、昔以上に魅力を感じ、深くはまる。
そんな人が、とても多かったようなのだ。
とにかく、コミックスの店頭での平積み効果は、すごかったんだなぁ。
 
 
ずっと清水作品を追いかけてきた私にとって、
『秘密』は、『秘密』単独でも面白いんだけど、
それと同時に、『秘密』は、過去作品のテーマの答え、
あるいは過去作品のテーマの続きなんです。
「JACK&ELENA」の続きでもあるし、
『月の子』の続きでもあるし、過去の短編の続きでもあるし。
ずっと追い続けてきたテーマを、また別の形で、
今味わうことが出来る。それがとても、うれしい。
しかも。「昔と同じ」ではなく、さらに深みを増して。
 
 
清水先生は、過去を切り捨てているわけでもない。
過去の栄光にしがみついている方でもない。
同じことばかりの金太郎飴でもない。
「今」を大切にしている方だと思います。
 
 
『少女まんが家になろう!』(白泉社/2006年)
という、白泉社の少女漫画家になりたい方向けのガイドブックに、
清水先生のお仕事場のお写真が、
カラーで3Pにわたり紹介されているのですが、
それを読んで一番うれしかったのは、
お仕事場の本棚に、清水先生のいろんな時代の
コミックス+文庫がおいてあったことです。
(撮影用に置いたのかもしれませんが。)
それは当たり前のことなのかもしれませんが。
私はうれしかったです。
 
 
『秘密』は今までと作風の違う、全く新しい作品だけれど、
清水先生の漫画家としての、25年という年月や経験があるからこそ、
紡いでいる物語だと思います。
 
 
 
私は、このサイトを、もし、誰かが、
清水先生の過去作品について調べたい時があったなら、
そういう時のために、過去作品の情報も、
置いておけたらいいなぁと思っています。
 
今でも、ランキングに、『秘密』以外の作品にも票が投票されています。
『秘密』が一番好きだけれど、でもだからこそ、
過去作品の情報も、必要だと思うんです。
 
 
目に見えないものも、大切にいていけたらいいなと思います。

(2009年6月26日)

 

 

『秘密―トップ・シークレット―』清水玲子
白泉社ジェッツコミックスA5版1〜6巻 以下続刊/隔月刊『メロディ』掲載

 

TOP  HOME

 

Copyright:(C) 2009 夜子,All Rights Reserved.