あなたは食事をする時、何を思い、何を感じますか?
それに罪を感じたら、あなたはそれに耐えられますか?
それに感謝し、その命をくむことが出来ますか?
「食」に対する考えも、立場も背負うものも、全く違った、
2人の男女の物語―――。
ロボットのジャックは、ただのプログラムでしかない、
自らの食欲に、罪の意識を感じていた。
「ロボットの食べた物がどうなるかご存知ですか?
「胃」に落ちてきたものは(中略)一瞬のうちに
フリーズドライ化されて、捨てられるんです。
血にも肉にもならずに」
なのに食欲を満たすため、――無意味に命を殺すと。
そんな彼は、某国王女の救出の依頼のため、
惑星メヌエットを訪れ、フォトォリス人の少女、ルビィに出会う。
命をつなげるために食し、食事を聖なる儀式とする、
フォトゥリス人のルビィは、人肉を食す。
人肉を食べることでその人の知識・理想・美点を
自分のものにすることが出来る、受け継ぐことが出来ると。
ジャックにプロポーズされたと勘違いしてしまったルビィ。
そんなルビィとどう接していいかわからないジャック。
ルビィは願う。「私の体はいつか私の子供に食べてもらう。
それまでは絶対に死ぬことは出来ない」と。
そんな2人を待ちうける運命は――。
機械と原始の意思を継ぐ命。
質が高いと評される、清水玲子の短編作品の中でも、
最も愛されている、今でも色あせることのない、名作。
(2005.7/22)
白泉社文庫『22XX』清水玲子/白泉社 または
花とゆめコミックス『22XX』清水玲子/白泉社
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