人魚族の間には戒め(いましめ)があった。
宇宙魚である人魚族と、地球の土着の人間がいっしょになると、
種と星を滅ぼすと――。
600年前、人魚姫セイラの裏切りによって、
魔女狩りにあった人魚族は、滅亡の危機にひんしていた。
そして、1985年。
セイラと人間の王子の間に生まれた3つ子の
ティルト、セツ、ベンジャミンは、
産卵のため、地球に帰ってきていた。
事故で記憶をなくしたベンジャミンは、人間のアートに拾われ、
ジミーとして共に住みだす。
3人のうち1人が女性化して卵を生むことが出来、
残りの2人は中性体のまま、女性体を見守るだけの存在。
恋をすることも出来ない。
唯一、女性体が死んだときのみ、もう1人が女性化することが出来る。
しかし、唯一女性化したベンジャミンは、ただの小さな子供として、
人間のアートと共にくらすことを望む。
人魚族のショナは、ずっとセイラの夢を見続けてきて、セイラの子供に憧れていた。
やっとめぐり会えた「ベンジャミン」。
でも、ショナがキスをすると、ベンジャミンは子供にかえってしまう。
ティルトとセツはベンジャミンが人間(アート)の元にいることと、
女性化を拒んでいることを危惧(きぐ)し、
人魚の元に戻るよう、説得するが、ベンジャミンはそれを拒否する。
そして体の弱いセツは、
ティルトがベンジャミンを守ろうとしないことを心配し、
それが、ティルトが自分をかまうからだと思い、
治療を拒み、死んでしまう。
卵細胞を持たず、絶対に女性化しないティルトを残して。
ティルトは魔女と契約する。
「セツを生き返らせること」と、
「セツにショナの卵を産ませること」と引き換えに、「地球を滅ぼす」と。
生き返ったセツは、何も知らぬまま、
ショナに出会い、彼にひかれていく。中性体のまま‥‥。
真実の愛の物語。
(『月の子』コミックス5巻/文庫3巻までのあらすじ。)
(2003.12/3)
『月の子−MOON CHILD−』清水玲子
花とゆめコミックス全13巻/白泉社文庫全8巻
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