『 声 』〜鈴木編〜
声を、聞きたいと思った。
死にゆく人の声を。
物言わぬ人の声を。
すべてがわかると思った。
でも真実は残酷だった。
こわれそうな君を守ろうとして、
こわれたのは僕のほうだった。
僕はただ、真実を知りたかった。
でも重過ぎる真実に、僕のほうがこわされた。
あの男から君を守りたかった。
真実を封じないと。
僕の脳は誰にも見せてはいけない。
そう、信じてしまった。
それしか道は残されていないと、思い込んでしまった。
最後に見たのは、今までで一番苦しげな君の顔。
後悔は一瞬。
おろかかもしれない。
ただ君を守りたかった。君の笑顔を守りたかった。
僕は封印されてゆく。すべてを終わりにして。
君にはいつも笑っていてほしかった、のに――。
(『秘密2001』)
85000hitのキリリクでほっけさんに差し上げた詩「その1」です。
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