「汚れゆく。」sideA
 
 
どんなにこの手が汚れてもよかった。
その分君は美しくなるから。
どんな深い闇に手を染めてもよかった。
その分君がやわらかにほほえむのなら。
 
 
僕が汚くなればなる程、
君は美しく汚れなくなる気がした。
何の苦労も汚れも知らないこその美しさ。
はかないやさしさ。
君は、僕のなりたかった、僕、そのもの。
君は僕なのだから。
 
 
僕は何も怖くなかった。
この罪を負い、地獄へ落ちようと。
この体が蛆(うじ)にまみれようと。
たくさんのひとに恨まれようと。
どんな罰がくだったって。
 
 
君がこの世界に、存在してくれるなら。
もう一人の僕である君が、
ただ存在し、願いを叶えてくれるなら。
 
 
僕は何も、怖くはない。
 
 
      (ティルト視点の詩)
 
 
 
 

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