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1986年『月の子』の時代より20年 |
現在2006年。 『月の子』の時代、1986年より、ちょうど20年後。 いよいよ運命の日に、さしかかろうとしています。 ティルトが、セツが、ショナが、ジミーが、アートが、 運命を迎えた日に。 ただ、静かに、祈りをささげたいと思います。 今日、実際の事件の事後を追ったニュースがありました。 本当に事故は起こって、放射能が降り注ぎ、 何万人が死に、今もなお、 何十万人、何百万人をはるか超えた人が苦しんでいる。 実は、何年か前から、事故のことを考えると、「実際の事件にたよらず、 もっと他の世紀末を、描いてほしかったかな」とは思うようになりました。 1990年前後。世紀末があるのではと、 異様に「地球が滅びるのでは?」とさわがれていた時期だからこそ、 生まれた物語であるという背景は知っていました。 でも、ただ1点、現実の事件に沿わず、オリジナルの世紀末を、 描いてほしかったなと、思います。 そしてこの点が『月の子』という物語を不利にしていると思うので。 『月の子』はハッピーエンドにはしてはいけない物語だったのでしょう。 まあ作家のほうが、他の作家によくある、 (魔法のような)「ハッピー大円団」の趣味ではないようですが。 (ファンとしては幸せがいいけれど、ハッピーエンドとは言えなくても、 結局毎回いろいろ考えてしまうラストなので。) 今と過去と未来が、交錯する―――。
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『月の子−MOON CHILD−』 清水玲子 |