同じくロボットを愛した『ジャック&エレナシリーズ』のルイスと
『メタルと花嫁』のエル。
「10年たち、20年たち、死が二人を分かつまで」
(『文庫版ミルキーウェイ』P71+もしくは『HC(花とゆめコミックス)ノアの宇宙船』P169)
半永久的な生をもつロボット。
人に造られた命ある人形。
愛する人がロボットであるがゆえ、彼女らは自分の死後の心配をする。
「(エル)Jの体はサビたりしないのよ。
土にもかえらず私達がこの世を去っても
変らずずっと一人でいなきゃいけないんだわ。」
(『文庫版ミルキーウェイP37』+もしくは『HCノアの宇宙船』P115)
「(ルイス)そうして私はいつか年をとらない私のジャックをおいこしてしまうのかしら」
(『ミルキーウェイ』文庫版P148もしくはHCP78)
「(ルイス)エレナならずっと側にいてくれるからいいいわ。
あの子なら私達人間と違ってあなたを残して逝ってしまうことはないし」
(『ミルキーウェイ』文庫版P174もしくはHCP104)
寿命の違い。取り残されて人をみとるばかりのロボット。
ゆえにロボットを愛する彼女らは、案じる。
あの人は残されていってしまう、と。
だれしも長生きを望むだろう。
でも、それが、自分だけのものだとしたら。
どれほどの孤独だろう。
ゆえにJは身を引く。
「(J)思いだけでは彼女を幸せには出来ない」
(『文庫版ミルキーウェイP61』+もしくは『HCノアの宇宙船』P139)
そして残されていくジャックは、すべてを引き受けて、一人、泣く。
何のためのプログラムかはわからないが、
それでしか人の生の重みを受け止め切れないから。
完璧なはずの機械。それにもろさとなげきを付け加える。
最新作の『秘密』もそうだ。
切なくて、残酷。
(2003.11/12)
『ミルキーウェイ』
文庫版『ミルキーウェイ』もしくは花とゆめコミックス『ミルキーウェイ』
『メタルと花嫁』
文庫版『ミルキーウェイ』もしくは花とゆめコミックス『ノアの宇宙船』
著/清水玲子
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