『月夜水の詩』HOME > 『深く語る。』 > 「碧と由〜地球と月〜」(輝夜姫)

 
 


この文は、ララ掲載分(コミックス未収録)のネタばれが多々あります。
コミックス派の方は読まないことをおすすめします。

   

 
碧と由〜地球と月〜 
(ララ2003.7月号)

   

ああ、そうか。
晶にとってまゆが「地球」だったように、
由にとって碧は、「地球」だったんだ。
この地球の中で唯一の救い。唯一の執着。愛すべき地球そのもの。
 
 
かぐや姫が月に帰れなかった元凶として天人にも、母「かぐや姫」にも
憎まれ、うらまれ、なのに天人にとって唯一の救い。
由はあがめられ、見下げられ、誰も、一人の「人」としては、見てはくれなかった。
名があっても、誰もその「名」すら、呼ばなかった。
 
 
閉ざしきった心の由に、初めて名を与え
(名前はあったけど、誰もその名を呼ばなかった。)、
自分についてまわった子供、碧。
「たった独り」の世界に入ってきた乱入者。
由は碧なしでは生きていけなくなった。
見捨てる、切り捨てる、憎しみ、拒絶。
それまでの由の感情はそんなものだったのだろう。
そんな由を必要としてくれた人。
かぐや姫とか、天上人とか、関係なく。
「由でいていいよ」と。
由は碧から、たくさんのものを受け取った。自分が由であるということを。
 
 
どんなことがあっても、 何があっても碧が大切。
碧なしでは生きていけない。
もし由が「月」に帰る能力があったとしても、碧をおいて月に帰るとは、思えない。
 
 
今、愛すべき「地球」を壊されて。
「月」はもう天に帰ってしまうのだろうか。
由にとって、今の地球は何の未練もないもの。
晶と一緒に「天」に帰ってしまうのではないか。
それが、とても心配だ。
 
 
これが碧と由の結末だと思いたくない。
ただ、救いを、祈る。

 
(2003.6/26)


「輝夜姫」清水玲子 花とゆめコミックス
1〜21巻/以下続刊&ララ掲載分

 
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