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「由・1」(輝夜姫)
  
 

 私は、今まで疑問にさえ思っていなかったけれど。
 でも。ふと。
 何で私は由にはまらないんだ?
 由も、ティルトやまゆのように一途なのに。
 一途さは変わらないのに。何故由にはまらない。
 よく考えたら、変だ。
 
 彼が正しいからか?
 いや、私はセツが好きだ。
 でもセツの汚れなさはティルトのギセイのうえ。
 だからだろうか。
 
 まゆを傷つける存在だからか?
 いや、碧だってまゆを傷つけた。
 私はそれでも碧を好きな気持ちが変わらない。
 それに碧が好きなら由×碧ではまればいいのに。
 由そのものにはまらないのは不思議すぎる。
 
 
 由は真の意味で汚れない。
 負の感情がない存在だ。
 
 碧と出会う前、(−−由が何才かわからないが)彼はひとりで平気だった。
 碧と出会ったから碧依存症になった。
 それも碧がはじめて由に名前を与えたものだったのがはじまり。
 (いや、名前自体は天人だかかぐや姫だかがつけたんだろうが。)
 それまでは全くの孤独。
 人間でも天人でも天上人でもなく、「由が生まれたせいで天人が天に帰れなくなった」という禁忌の存在。
 天上人(かぐや姫)と人間の間に生まれた、唯一の子。
 呪われた子だった。(『輝夜姫』9巻、13巻より。)
 
 これで私がはまらない方がおかしい。
 何でだ?
 由が強すぎるからか? それにしても何故。
 
 
 実は私は、今でこそ晶が好きだが、昔、晶が苦手だった。
 晶を受け入れることが出来るようになったのは、玉鈴たちが出てきてから。
 むしろ晶より、玉鈴のほうが先に好きになっていたのかもしれない。
 今でこそ本体の玉鈴のことは忘れがちだが。
 晶にはまったのは、中国編、ドナー編のあたりからだ。
 
 だから由の第一印象がどうであれ、今も由にはまらないのがおかしい。
 
 私は弱さと強さの両方をもっているキャラが好き。
 守や楓だって、好きになったきっかけは、唐突だった。
 
 
 疑問にさえ思っていなかったことが、今、あらわれた。
 私が由にはまる日は来るのだろうか。
 
 まだ『輝夜』は、現在進行中だ。

 

(2003.4/2)

『輝夜姫』1〜20巻/以下続刊
清水玲子/花とゆめコミックス

 

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