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「セツ・1」(月の子)
  
 

 私はセツが好きです。
 セツの性格が好きです。
 話し方も行動パターンも、ルックスも好きです。
 セツというキャラが本当に好きです。
 でもそれだけではなく。
 ティルトという存在がセツにとっていなかったら、
 ここまではまっていたかどうか、わかりません。
 
 ティルトの犠牲のうえにセツの「生」が成り立っているのは、このうえなく魅惑的なんです。
 そしてティルトとセツの関係は、このうえなく絶品です。
 それは私だけなんでしょうか。
 セツというキャラの人格形成において、ティルト抜きでは語れません。
 なんせ2人は、生まれる前から、ずっと共に居たのですから。
 
 コミックス12巻の表紙『卯月』(文庫版では7巻&『画集WALTZ』に収録)のイラストを見て、桜吹雪の中のセツとショナに、私には1つのフレーズが重なります。『桜の樹の下には屍体が埋っている』。
 セツとショナの愛が成就する時、地球は滅ぶのです。
 
 ティルトの罪は、同時にセツの罪でもあるのです。
 それをセツは何も知らない。‥‥いえ、もしかしたら何か知っていたのかも知れません。
 
 セツはこの上なく美しく汚れなく。
 同時に滅びの象徴で。
 
 
 雪のように真っ白なセツが、恋に染まっていくのも、魅力的でした。
 とても美しくて。
 人に対して何も求めない。
 そのセツが、ショナを愛し、そして嫉妬し、心のどこかでベンジャミンの死を望むようになり。
 染まってもやさしさは変わらない。セツは、恋をすると同時に甘美な刺にからみとられていく。
 守るべきベンジャミンは、ショナと一緒になるのが一番いい。でもそのショナを愛して。
 
 「いつもショナを動かすのはベンジャミン」
 そう思った時の彼(女)の思いは。
 ベンジャミンを守るのは僕の役目。
 ベンジャミンが死ねば僕が女性化出来る。
 あの時、セツは何を思っていたのか。
 
 セツはこの上なく美しい。
 でも、それだけではないところにも、私はこの上なくひかれるんです。

 

(2003.3/31)
 
「月の子−MOON CHILD−」
花とゆめコミックス全13巻
白泉社文庫版全8巻
清水玲子

   

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