【月夜水の詩】 > 清水玲子データベース 
 > 「語り手」 (『月の子』)



「語り手」 (『月の子』) [238]



2010年の記事より。
 
 
以下、清水玲子・著『月の子』の
ネタばれが多々あります。
『月の子』を未読なかたには、
種明かしかもしれません。
 
 
 
 
「ジミーはストーリーテラーです」
 
 
どこかで清水先生が
言っていた言葉だと、思う。
『月の子』舞台化の時に、
ネットで読んだと思うのですが。
私は日ごろ、「情報源」を、
わりと気にするタイプで。
出所を探したのですが、
結局見つかりませんでした。
なので、さんざん調べたのですが、
本当に、清水先生がそうおっしゃっていたか、
確認できなかったのです。
(もし、記憶違いだったら申し訳ありません。m(_ _)m)
 
 
『月の子』舞台化の時ならば、数年以上前。
それからずっと思っていたのですが。
 
 
この言葉は、衝撃でした。
そして。『月の子』のことが、
やっとよくわかった気がした。
 
 
 
ジミーは、
「ストーリーテラー」=「語り手」だったのか。
 
 
 
では、やはり、『月の子』の主役は、
ジミーとアートだけでなく、
3つ子のジミーとセツとティルト、
そして、アートとショナ、
5人が主役だったんだな、と。
 
 
まあ。ラストのほうで、
ティルト、セツ、ショナが、
主役のジミーとアートを食ってたし。
 
 
ティルトとセツは、一応、
サブキャラという形だったから、
どういう結末か、わからなかったし、
主役ではないと思っていたから、
解釈が乱反射した。
 
 
ティルトもセツも、一応
主役という形ではなかったから、
いろんな意味で、自由だったんだと、
今考えると、思う。
予測不能で。
 
 
今思うと、一種のフェイクだったのかも。
でも、そこがよかった。
王道な主役キャラでなくて、よかったと思う。
 
  
『月の子』は、フェイクや、イメージの重複や、
重ね言葉、すり替えや、
事実に関するキャラの誤解や、暗示が、
網の目のようで。
 
 
そこが好きです。
 
 
私は、『月の子』のその
乱反射していると感じていることを、
『月の子』を読んで感じたことを、
全ては書ききってないのですが、
感じたことをすべて書けないのは、
私の性格+ポリシーで。
そして、サイト運営に向き合う上での、
私の信念でもあるんですね。
どうしても自分の中で、
ストッパーがかかってしまって。
 
 
しょうがないから、直接書けないなら
別の形でやっていくしかないのかな、と。
そう思っています。






白泉社文庫「月の子─MOON CHILD─」
全8巻 清水玲子 


【月詩Blog】2010.11.23 (Tue) より  
2023年10月UP