「セツ」

 

  「月の子」で一番好きなキャラです。
 でもその何割かは「ティルトとセツ」の2人がsetだからというのもある。
 
 はかないやさしさ。ずっとティルトに守られて。汚いものから遠ざけられて。
 無垢。無欲。だった。
 そしてショナに出会う。
 そうするうちに、欲や嫉妬、恋といった感情が彼女に芽生えていく。
 
 恋をする前までは。ショナと出会う前までは。ベンジャミン(ジミー)の相手はベンジャミンが決めるべき(たとえ相手が人間のアートでも)と思っていた。ベンジャミンを守るめなら死んでもよかった。
 
 でも、本当に死んでしまって。(そしてその記憶はセツに欠落している。)
 ショナと出会う前に、「ショナの卵を産む運命」にさせられてしまった。
 
 ショナに出会ったセツはショナに恋をする。
 ショナはセツが初めて接した「他人」。
 ティルトと同じ扱いが出来ない。
 ティルトとなら平気でしていたことが、ショナ相手だと出来ない。
 ティルトはセツにとってあくまで肉親、半身なのだ。
 そしてショナは他人の男。
 (このへんもう少し突っ込んで描いて欲しかったよ、清水先生。)
 
 ティルトは何故か消えてしまった。独りで生きていかなくてはならない。そんな時、出会ったショナ。
 ショナはベンジャミンを愛していて、彼にとってそのことを相談できるのは(ベンジャミンの姉妹の)セツだけ。セツはどれだけショナがベンジャミンを愛しているのか思い知らされる。
 
 だんだんセツはベンジャミンの死を願うようになる。
 「ベンジャミンが死ねば僕は女性化出来るかも知れない」
 人魚にとって、女性体でないセツは恋(産卵シーズンの)の資格がない。
 ショナから聞かされるのはベンジャミンの事ばかり。でもショナとの接点はセツが「ベンジャミンの姉妹であること」のみ。
 
   【コミックス7巻P164/文庫版5巻P74】
 「セイラ(母)は命をかけるほど好きな人が出来て、片思いにしろ願いがかなって、その人のそばにつかえることが出来たんです」「だからセイラ(人魚姫)は幸せだった」
 
 セイラの名をつぐセツという名。最初はとても不思議だったが、卵細胞のないティルト、未熟児のベンジャミン、ならば、セツがセイラの名をつぐのも、当初は当然だったのかも知れない。
 
 恋のかけひきという点では、「ショナ×ベンジャミン」よりも「セツ×ショナ」のほうがかなり高度なかけひきしてるよ。ベンの前のベタ甘のショナもなんだかなぁ。
 
 でもさんざんショナのベンジャミンへの甘い愛を見せつけられたせいで、ショナのセツ自身に対する本当の愛にセツは気付かない。
 ショナは「セツを追って」ロシアに来たのに、再会したその日にショナが「ジミー(ベンジャミン)の泊まってるホテルわかる」なんていうから通じてない。
  【コミックス12巻P71/文庫版7巻P295】
 
 ロシアでの一月弱の2人はけっこうラヴラヴだったろーなー(しかもセツに自覚無し。)(そういうの描いて欲しかったよ、清水先生。)
 
 ショナとティルトは違う。その差こそが、恋と愛の差なんだろうなぁ。
 ショナとティルトは作中話したことがない。互いに遠くで見ただけだ。この2人の会話聞きたかったよ、マジで。
 つーか、なんでこんなにティルトとセツの2ショット少ないのかな清水先生。もっとティルトとセツ描いて欲しかったです。
 もうあの2人にメロメロなんです私。(ティルトとセツの関係も。)
 
 でもセツとベンジャミンもけっこう双子の姉妹してるのよね。対になる言動する。この2人の対比も好きです。ショナにとってベンジャミンとセツの2人の言動がどううつるかも。
 
 
  ティルトとセツ→→危ない双子愛。
  セツとベンジャミン→→恋のからんだ双子の姉妹。
  ティルトとベンジャミン→→憎んでる自分を投影した、
               イジメ、憎しみ。
 
 このバランスが絶妙です。

 

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