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「好き。」シリーズ
  清水作品についての短文の紹介文。
  以前書いたものの再録です。

 

 好き。−1−
 「輝夜姫」(清水玲子/花とゆめコミックス)

 私は清水玲子の作品がとても好きだ。
 えーと、清水先生の好きなところは一杯ある。まずは連載中の「輝夜姫(かぐやひめ)」から。
 清水先生は連載物は「竜の眠る星」のセクスレス・ロボット、エレナとか、「月の子」の無性→女性に変化したり出来なかったりする3つ児とか、今まで本当の意味での中性キャラ主役を2本描いているんですね。
 んで。3つ目は。もうそういう「ワク」を、とっぱらっちまおう、と。
 
 中性って、読者から見たら恋愛にフリーパスじゃないですか。「この人は中性だからいいのよ」と。あと、見る側が女性だと「見るだけなら、男同士だと浮気されなくていいわよね」とか。
 
 んでもって。「輝夜姫」は。ホモキャラとレズキャラばっかではないのか?
 
 最初は戸惑いましたよ。特に1巻は。(1巻に未だこだわる私。) LaLaでここまで描く(というか、LaLaをこういうカラーに変えてしまった)清水先生って。
 
 JUNE顔負けの色っぽさを女性で描く清水先生。戸惑ってる私はやっぱ性差別あんのか? (もちろんJUNE顔負けの色っぽい男も描けます、この方は。)
 
 

(1997" 6月に書いたものの再録。一部修正。)

 

  好き。−2− 
 「月の子−MOON CHILD−」(清水玲子/白泉社文庫)

「ジミーが死んだその瞬間から、こんどはセツが女性になるんだ。考えただけでゾクゾクする。自分がこの世から消えるその日が」
 今実現しつつある、クローンの「輝夜姫」とは異なり、兄弟として育った三つ児の話。
 
 三人のうち一人が女性化し、あとは未成魚で発育せず、女性体を守るためだけに存在する。
 けれど、その女性体を『守る』ことさえ拒絶されたら、二人はどう生きればよいのか。
 人魚である運命を拒否するジミー。自分は不必要と死を選ぶセツ。そして、何も残せず忘れ去れることにおびえるティルト。
 物語は加速的にもつれていく。
 
 「人魚と人間が一緒になれば、地球を汚し、滅ぼす」
 
 存在自体が罪なのか。何かを愛することが、自分の思いをつらぬくことが罪なのか。 
「いつはてるとも知れない呪(中原中也)」
 透明な美しさと残酷さと狂気。そして、ただ一人の人を求める三つ児の姿は、痛い。
 
 

(1997" 8月に書いたものの再録。)

 

  好き。−3−
【双子・クローン】

 清水玲子の作品って、ほんっと、双子多いなー。双子・クローン及びそれに類する者は、軽く10組を越えるし。(まあ「輝夜姫」キャラが数組いるんでね。)
 これは、生物学的な双子のみであって、単に外見が変化したり、年齢が変化したり、1人の人物に2つの人格があったり(「ノアの宇宙船」)、ある人物を模写して造られたロボット(「ミルキーウェイ」)なんてのは数に入れてない。
 
 『生』、と『記憶』、『存在』を扱っているんだと思う。
 
 この人の双子及びそれに類する者の描き方は独特ですわー。SFも含め。クマノミやプラナリアや疑似ホタルなんて、他に誰が思いつくんだよー。
 
 LaLa連載中の「輝夜姫」はクローンに興味ある方には絶対おすすめ。絵も、むっちゃキレイです。
 

(1997" 10月に書いたものの再録。)

 

好き。−4− 【引き裂かれた魂 】
 「月の子−MOON CHILD−」(清水玲子/白泉社文庫)

 人魚の間には戒めがあった。もし人魚と人間が一緒になると裏切りがおこり、種と星を滅ぼすと。
 
 人魚の長老グラン・マは予言した。人魚姫セイラと人間の間の子が、今年帰ってきている。その子の名を、ベンジャミンという。再び裏切りを行わせてはない、と。けれど、セイラの子は、三人、いたのだ。
 
 三人のうち、一人が女性化し、あとの二人は未成魚として見守るだけの存在。三人はそんな奇形として生まれてしまった。
 
 時々、思う。もし三つ児が、三人ではなく、一人の人物として生まれていたら、もう少し幸せだったかもと。どうしてこんなに呪われなくてはならないのだろう。
 
 人間を愛したベンジャミン(ジミー)。
 人魚(ベンジャミンの婚約者)を愛したセツ。
 そして兄弟であるセツを愛したティルト。
 
 衰弱死したセツのために、ティルトは魔女と契約する。
 「セツを生き返らせること」と「セツに卵を産ませる」こととひきかえに、「地球を滅ぼす」と。
 運命を握っているのはティルトか、それとも−−。
 
 中性及び無性であることに石を投げた作品。
 

(1998" 1月に書いたものの再録。)

 

好き。−5− 【 クローン 】
   「輝夜姫」(清水玲子/花とゆめコミックス) 

 10年前まではSFの世界だったクローンも、今は 牛・猿・羊と現実のものになりました。「輝夜姫」は、そんな人工的に作られたクローン(双子)の話です。
 私は昔から双子が好きでした。だから「月の子」が好きでした。「月の子」も頭ガツーンとされたけど、「輝夜姫」はもっと衝撃的でした。
 
 彼らは臓器移植のために作られた「ドナー(臓器提供者)」なのです。
 
 同じ遺伝子を持っていても、望みが同じとは限りません。利害が一致するとも限りません。同じ人生歩めるわけでもありません。記憶が同じでもありません。
 清水先生の双子クローン及びそれに類する者は独特です。話の筋にかかわるのでここには書きませんが、短編にもこれは多いです。
  
 どこまで人は同じ人間と言えるのか。その人間が2人いたらどうなるか。
 
 双子が好きー、という方は絶対読んでみて。はまるよ。
(※「輝夜姫」のクローンの話は5巻からです。)
  
 

(1998" 2月に書いたものの再録。)

 

好き。−6−   【 〜癒えることのない傷〜 】
「22XX」(清水玲子/白泉社文庫)

 食べる必要がないのに、食欲をプログラムされているロボット、ジャック。彼にとって「食事」は無意味で苦痛なものでしかない。
 そんな彼は、食事を聖なる儀式とし、人肉を食べるフォトゥリス人、ルビィと出会う。
 
「そうして命は、重なる度にどんどん美しく浄化されていく。人に食べられることは恐ろしいことでも何でもなく、光栄なことだ」
 
「私の身体をたべて。私のかわりに生きて。見て。感じて。この世界のすべてを、私の命をうけとって」
 
 清水玲子の作品の中でも、特に愛されている作品です。
 

(1998" 4月に書いたものの再録。)

 

  好き。−7− 
   「輝夜姫」(清水玲子/花とゆめコミックス)

 殺されるために少年たちは生まれてきた。「かぐや姫」に「いけにえ」として捧げられるために。そして、臓器提供者として。(臓器を取られたあと、少年たちは「処分」される。)
 
 5才の少年たちは島から逃げ出し、10年後、また島へ戻ってきた。呪いを断ち切るはずが、罠にはまる。
  
  DEAD OR ARIVE。
 
 人工的に2つにわかれた魂は、もう1人には戻れない。クローンは本体と同一にはなりえない。
 
 「私は玉鈴じゃない。岡田晶よ。」
 
 肉体のスペアとして生をうけたクローンたちの、生き残りをかけた戦いが、始まる。
 

(1998" 6月に書いたものの再録。)

 

 

  好き。−8−
 「ナマケモノのスキューバダイビング」
   (清水玲子/白泉社 ¥840)

 スキューバ初心者の清水玲子が描く、事実を基にした、スキューバエッセイコミック。生の爆笑エッセイです。
 講習やダイビングなどのアクシデントや出来事、水中についてあれこれ。スキューバについての説明文、資格、グッズについて、Q&A、おすすめポイント、水族館データなどもついてます。清水先生の知られてなかった裏面や、スキューバについて興味ある方にはおすすめです。
 
 私は身体弱くてスキューバは無理だけど、スノーケリング(素潜り)は、してみたくなっちゃいました。度が入ったマスク、欲しいなぁ。(視力悪いので。)
海が好きな人、手にとってみませんか?


 (1998" 6月に書いたものの再録。)

 

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