「第九」
 
たとえ未来が絶望だとしても。
僕は望まずには居られない。
 
僕の信じた「第九」が、希望になりうると。
 
たくさんのものが犠牲になった。
部下、親友。あるいは視覚者の「秘密」。
 
それでも、「第九」の未来を望まずに居られない。
僕たちの思い。部下たちの思い。
望みついえたもの。暴かれた「秘密」。
 
それに報いるには、それを超え、
真実を見据えて、「第九」の存在が、
この世の救いになって欲しいのだ。
 
それがどれだけ残酷な真実でも。
開いてはいけない「秘密」だったとしても。
開く前には、僕には選べないから。
 
 
そのためなら、自分は何だってするのに。
失うのは、僕ではなくて。
いつも僕の周りに被害が及んで。
 
 
僕は罪深いのだろう。
それでも「第九」の「MRI捜査」の未来を、
切り開きたいというのは。
それはもうただの執念で執着で。
 
重すぎる真実。でもそれが真実ならば。
冤罪のない世の中になりうるのなら。
 
 
どうか、僕はどうなってもいいから、
僕の何を無くしてもいいから、
僕だけに咎が来るように。
 
どうか部下だけは無事であるように。
 
 
この手がどれだけ汚れようと、
MRIがどれだけ汚されようと、
僕は共に、歩んでいく。最後まで。
「第九」の意味を信じることが出来る日まで。
 
 
「第九」が僕たちだけでなく、いつか
多くの人の希望になることを信じて。
 
その日まで、僕は、決して、あきらめない。
 
  
 
 

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