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月の子総論      6.それはしくまれた恋だった。

 

ティルトは魔女と契約を結ぶ。
「セツが生き返ること」「セツがショナの卵を産むこと」
「とひきかえに」に「地球を滅ぼす」と。
 
セツはショナを愛するために、生き返ったのだ。
しかもその恋は地球をほろぼす、と。
(これはあくまで、ティルトの言い分で、
セツとショナの意志はない。)
 
では、ショナとセツの愛は、
どうやって証明できる?
 
セツとショナに、愛はあったのか?
 
とても悲しい運命だと思う。
ティルトの言い分だと。
そしてティルトはそれを自分に言い聞かす。
だから読者も、ショナを信じることが出来なかったのだと思う。
 
セツとショナは、結ばれてなお、契約が行われた後なお、
その愛を証明しなくてはならなかったのだ。
 
最後の、契約が効能をあらわしたあと、
契約が執行されたあと、
女性化したセツ自身(つまりショナの本当のベンジャミン?)
より、セツを選ぶかどうかという。
 
契約の効能が終わったあとでなお、「ショナのベンジャミン」よりも、
セツを選ぶ必要があったのだ。
 
セツのショナとの恋。
それは呪われているのか。
それとものりこえるべき真実の愛なのか。
それは、この作品では、はっきり語られていない。
この「月の子」は暗示というベールで包むことによって、
答えを「読者に選んでね」と、
作者は答えを暗示することで、幾重にも答えを感じさせる。
いつまでも余韻がある。
とても美しい物語だと思う。
 
結局、ティルトがショナとセツの運命を握っていたのか。
ショナとセツの運命は強すぎて、
ティルトを巻き込んだのか。
私は後者だと思っているのだが。
 
ティルトの運命にショナが関わってくるのは、
セツとティルトが運命が深いから当然。
ショナの運命にティルトが関わってくるのは、
セツとティルトが運命が深いから当然。
また、ベンジャミンとセツの確執も、
セツとベンジャミンの運命が深いから当然。
 
そして、三つ子が卵からかえるはるか前(と推測する)
600年前から、ショナは「セイラ=ベンジャミン」のゆめを見ていた。


 

ショナとセツの運命について、もう少し深く語る。
 
「セツが女性化しなかったこと」「セツの死」
「ベンジャミンの存在」
「ティルトの結んだセツとショナに関する契約」の
幾重にも張りぐまされた試練、罠。これは、
どう考えても、「試されていた」からなんでしょう。
「ベンジャミンとアートは」
「ためされているのかもしれない」とセツはショナに語るが、
(コミックス5巻P155、文庫3巻P289)
それって、セツとショナもでしょう。
 
セツとショナの運命は、呪われれば呪われるほど、
困難ならば困難なほど、
深いものだったのだ。
 
だってさー、もしセツが始めっから女性化してたらさー、
もろショナの好みだよ?
でれでれして劇甘で、ってわかりきってるよ。
試すことにはなんないよ。
 
逆に言うと、セツは(特に)、
女性化しなかったから、しあわせな恋だったと思うよ。
かっこいいショナを、ただ見つめて。
 
先ほど言った契約も、
セツとショナを軸にすれば、違う言い方も出来る。
死してもなお、惹かれあい、ティルトも巻き込んでまで、
2人は出会ったんだと。
 
答えは清水先生は、暗示するだけで、言ってない。
答えは私に、あなたにゆだねられている。


(2007.1/7)


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『月の子−MOON CHILD−』 清水玲子
花とゆめコミックス全13巻/白泉社文庫全8巻

 



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