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「セツ・2」(月の子)

 
 

少年のような体に少女の心を持つセツ。
セツは男じゃないし。
ユニセックスったって、決して男にはならないのを、
ユニセックスって言っていのかどうかわかんないし。
外見の体型が中性的なだけだし。
もともと中性であったし、セツに男らしさはないと思うし。
 
 
ショナは、ただ一度だけセツの三人称に「彼」と言います。(コミックス8巻。)
多分彼がそう呼んだ風に描かれていたのは、それ一度。
あとは「あの子」とかですね。
 
エレナはジャックに「彼」って呼ばれてたし。
セクスレスじゃ混乱するからと、「男」で通してるけど。
それとはずいぶん違う。
 
 
ショナは、セツの「女らしさ」にひかれたのだと思う。
いやらしさのない、透明な女らしさ。
ショナがそれに気付いていたかどうかわからないけれど。
セツの内面はショナの理想の少女だったから。
 
セツ、苦しかったと思うよ。自分が女性じゃないことで。
あるいは不完全な女性というべきか。
人魚ってもろ生殖というか、恋=子孫を残すことだし。
自分にその権利がなくて。
 
ティルトと居た時は、あきらめてた。ベンジャミンを守るべきだと。
でも好きな男性が出来て、自分は愛される資格がないと思い、
苦しかったと思うよ。
しかもジミーったら、ショナの前でセツのことを「お兄さん」と呼ぶし。
ベンジャミン=ジミーを見守るのがセツのつとめ。
でもショナが愛しているのはそのベンジャミン。
 
結局ショナは究極の選択的だったよね。
理想の外見の少女のベンジャミンか。理想の内面のセツか。
しかも2人は3つ子で、遺伝的に同じで、かなり似ていた。
 
 
バカだったよね、ショナは。求める人はすぐそばに居たのに。
あんまりショナがセツの前でベンジャミンベンジャミン言うから。
セツは自分は愛されてないと思ってたし。
セツは、自分はベンジャミンの代わりだと思ってた。
ショナを、自分を信じてなかった。
残酷だったよね。
 
 
でも、逆に、セツに「ベンジャミンのような美しさ(?)」
がなかったから、「素」のショナが見れたよね。
かっこいい男らしい。それは、2人にとって、よかったと思うよ。
セツの前の「素」のショナは、とてもかっこよかったから。
それは、よかったと言えるんじゃないかなぁ。
 
 
ただ、ロシアでの日々が、2人にとって甘いものだったことを祈る。

(2004.10/31)
  
『月の子−MOON CHILD−』  清水玲子
花とゆめコミックス全13巻/ 白泉社文庫版全8巻


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