『秘密―トップ・シークレット―』の映画化を密かに妄想する私には、
やっぱり『秘密1999』が映画化されたならどうなるかな
という視点で見ていて。
でもやっぱり、海外の生の大統領とか見てたら、
「これが墓場に持って生きたい秘密だったらイヤー」とか思う。
　
生の大統領の、秘めた思いが「これ」だとしたら、
やっぱり、スキャンダル、ですねぇ。
　
清水玲子の世界って、とっても美しくて、浄化された世界。
あの美的な繊細な完成された世界。
全てを涼やかな風がつつんだ。
そして、正しく善良な人。命をかけた思い。
マンガなら、清らかなのに。
ＴＶで色眼鏡で見ながら、もしこういうネタで、
マスメディアでスキャンダルとして放映されたら。
私はケビンの立場で見れない。
　
そのことに最近気付いて、かなりリード大統領さんに、
申し訳なく思ってしまう。
　
もしリード大統領が現実にいて。
守りたかった「秘密」が「これ」だったら。
悲しいことに、私はリードさんやケビンの立場に立てない。
そのことに気付いて、本当に申し訳なくて。
　
『秘密1999』、本当に大好きなんだけどね。
　
　
誰にも言えない「秘密」。もしそれを知られたとき、暴かれた時。
本当にたまらなくつらいよね。
死後、何も言えなくなった死人の人生が、全て暴かれる。
そんな時代、生きるのも死ぬのもこわくなるよね。
何をどう見たか、何をしたか、何をどう感じたか。
全て暴かれる。
　
50年後、もし「ＭＲＩスキャナ」があったら。
すごく世間からバッシングがあるだろうし。
（それは、恐怖心からもあるだろうし、自己防衛でもあるだろうし）。
『秘密』って、「ＭＲＩスキャナ」って、ものすごく恐ろしいものだね。
プライバシーなんてまるでなくなる機械。
　
そして。『秘密』全編を読んで。本当に救われない物語なのよ。（特に『2003』。）
誰のための、何のための、捜査？
真実が暴かれたあとには、底知れぬ残酷さが待っている。
そして、私の心をつかんで離さない。
ふと思うことがある。私は今、何を見ているのだろう、と。

（2004．７／２６）
　

「秘密―トップ・シークレット―」清水玲子
１〜２巻白泉社ジェッツコミックス（A５版）