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「時の差」

   

 ある話に、こんなシーンがある。
 古い文明があった地が、ジャングルになり、そしてそれが焼き払われて、また人間社会になってしまう。
 そしてロボットは泣くのだ。
 ロボットと人間の寿命、いや「時間の差」に。
 かつてのその地が変わり果てたことに。そして人々にその地の過去を忘れ去られたことに。
 それをロボットは見せつけられるのだ。
 (泣いた理由はそのこと自体ではないけれど。)
 
 100年も、200年も、「記憶を忘れることが出来ない」ロボットは、泣く。
 ある人の願いを叶えてあげることが出来なかった自分を悔いて。
 
 人々が世代交代しても、忘れ去られてしまった過去も。
 彼は生き続けることでしか、つぐなうことは出来ない。
 それがどれほどの苦しみか、今の私には、はかり知れない。 

(2003.2/25)

 
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