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『もうひとつの創世記』   (『秘密』と過去作品と聖書・3)



清水玲子著
『秘密−トップ・シークレット−
THE TOP SECRET 
Genesis 創世記』と、
 
『もうひとつの神話』のネタばれを含みます。
  
 
 
清水玲子先生の初期作品に、
『もうひとつの神話』(1985年)という作品があります。
未来のアダムとイブの始まりの話です。
 
 
 
 
マリアになりたかったイヴの話。
 
 
 
「オレは、イヴさえ側にいてくれたらそれで。
ずっとイヴといられたら・・・。
どうしてオレじゃいけないんだろう?
どうしてロボットじゃいけないんだ。イヴに総てを話せたら。
それでも、ロボットでも、イヴがオレを愛してくれたら・・・。」
「いつも、いつもオレは願っていた。
本当に子供が欲しかったのは、イヴよりむしろ、オレの方だった」

 
 
(清水玲子著『もうひとつの神話』より。
白泉社文庫『天使たちの進化論』全1巻に収録されています。)
 
 
 
 
今思うに、『秘密 創世記』第3話ほど、生々しくなくても、
同じ魂に違う体。違う魂に同じ体。
複製された者。コピーされた者。誰かの代わり。
 
 
そういうモチーフは、清水先生はずっと描いてきてた。
 
 
『輝夜姫』でもいろいろあったと思う。
 
 
 
『もうひとつの神話』でも、ほんとうにイヴは何も知らなかったのか?
知っていて、幸せなフリを続けていたんじゃないか?
 
 
もしそうなら、この物語はイヴにとって、とんでもなく残酷な話だ。
 
 
 
 
『もうひとつの神話』で、すでに清水先生は『創世記』をモチーフにしてた。
 
 
 
 
あと、同時期に発表された作品に、
 
『ノアの宇宙船』(1985年)とか。
『お伽噺のユダ』(1985年)とかあります。
 
(どちらも白泉社文庫『ミルキーウェイ』全1巻に収録されています。)
 
  
 
 
そして。『秘密 創世記』を読んで。
 
なんで薪さんはあそこまで雪子さんを避けていたのか、
少しわかった気がする。
私は雪子さんがわりと好きですが、鈴木と薪の間で、
あんな暗黙の了解があったなら。
いくら雪子さんががんばっても、いろいろ難しかったんだろうな、と。


【月詩Blog】  2013.04.14 (Sun)より  
2015年3月27日UP