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『創世記』     (『秘密』と過去作品と聖書・2)



私は、『メロディ』2012年10月号の、新連載の予告に、
『秘密 the genesis』とあるのを見て、
 
 
>「the genesis」とは、辞書で調べると、
>起源、おこり;発生、創始。
>という意味で、
>「Genesis」の場合、旧約聖書の『創世記』
>になるようです。
 
 
と、【月詩Blog】 で書いてはいましたが、
清水先生が、ズバリ、『創世記』とは
描かないんじゃないかと思っていました。
 
 
 
が、この2ヵ月とりわけ、私は『聖書』の『創世記』を、読んでいました。
 
 
 
『メロディ』の12月号の新連載のほうで、
『『秘密−トップ・シークレット−THE TOP SECRET
 Genesis 創世記』になっていましたね。
 
 
 
『創世記』、そして、清水玲子作品と、『聖書』について、
書いていきますね。
 
 
 
 
まず、『聖書』の『創世記』というのは、
『旧約聖書』で一番始まりの書で、
 
 
「天地創造」から始まって、
「アダムとイヴ(エバ)」、その息子の、
「カインとアベルとセツ(本によってはセト)」
「ノアの箱舟」
「バベルの塔」
「イサクと妻リベカの子エサウとヤコブ」
そして、
「ヨセフとその弟ベニヤミン」の物語で、
『創世記』は終わります。
 
 
 
 
次の書、『出エジプト記』は、モーセの物語です。
海を割ったり「十戒」を授けられたことで有名。
 
 
 
『創世記』の、特に前半は、
誰もが知っている物語りではないでしょうか?
 
  
 
 
 
実は最近、私は『聖書』の「あらすじ」「解説」の本を、
興味のあるところだけ、読んでいました。
信者ではなく、物語としてひかれました。
そして、さまざまな清水作品とのつながりを見つけ、
気付けば、『聖書』の解説本を、
主に文庫で数冊、持っていました。
 
  
 
 
まず。
清水先生の初期短編の『もうひとつの神話』(清水玲子)は、
未来のアダムとイヴの話だし。
『ノアの宇宙船』(清水玲子)も、ノアの箱舟の、宇宙版です。
初期短編には、『お伽噺のユダ』(清水玲子)という、
裏切り者の話も書いています。(これは『新約聖書』)
 
 
 
 
『月の子』(清水玲子)のティルトとベンジャミンとセツは、
『創世記』の、「カインとアベルとセツ」の図式かな、
と、最近思います。
「兄弟を殺そうとするティルト」
「殺されそうになるベンジャミン」
そして、命を継ぐ者「セツ」。
 
  
 
『創世記』のラストに「ベニヤミン」という名が出てきて、
おどろきました。
このベニヤミン、兄ヨセフにとても愛されていて。
兄ヨセフが、弟ベニヤミンにただ自分のそばに居てほしくて、
 
 
「奴隷としてベニヤミンだけここに残れ」って、
ヨセフは命ずるんですね。
(ベニヤミン達兄弟側は彼が兄弟のヨセフとは
気づいてないから状況もわからず、困るんですが。。。)
結局は、和解するんですよ。
 
 
 
 
 
あと『月の子』(清水玲子)のセツが、
美術館のシーンで見ていた絵画は、
『新約聖書』をモチーフにした
『無原罪のお宿り』であることを、
数年前、ある方から教えていただきました。
このシーンのセツの祈りにグッときました。
 
 
 
 
あと、今考えると、『もうひとつの神話』(清水玲子)の
イヴは、「無原罪受胎」を望んでいたのかな?と、
ごく最近、思うようになりました。
原書の『聖書』では、「原罪」をおかしたイヴが、
清水世界では、「無原罪」を願う。
より深く感じるようになって。
 
 
 
 
『秘密』のサブタイトルに「最後の晩餐」があったことは、
多くの『秘密』Fanが知ってますね。
 
 
 
 
清水先生の新連載『秘密 Genesis 創世記』第一話は、
日本の「MRI捜査」が生まれる前、
脳の「MRI」って技術がどうやったら実現するかって話で、
実験段階で薪さんはかかわっていた。
技術が生まれる前から、薪さんは、
「MRI捜査」が実現するのを望んでいた。
  
 
そういうイメージって、
たしかに『創世記』って言葉が、
しっくりきますね。
 
  
 
清水先生はホント、『聖書』が好きだなぁ。
 


【月詩Blog】  2012.11.09 (Fri)より  
2015年3月27日UP