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「22XX」
清水世界に残酷さが加わった、転機の物語。[579]



「22XX」
(にーにーえっくすえっくす)です。
「20XX」ではありません。
  
 
私は、西暦2200年代の話
というニュアンスだと、
思っています。
 
 
 
人肉を食することを、聖なる儀式とする、
フォトゥリス人、ルビィと、
ロボットのジャックの物語
――カニバリズムの話です。
ルビィは、自分を助けてくれた
ジャックを人間と思い込み、愛します。
 
 
 
実は、「LaLa」掲載時、
ルビィとジャックのH シーンは、
ほとんど描かれていませんでした。
 
 
「22XX完全版」(170P)
(「増刊LaLaSFスペシャル」
 実質的に清水玲子スペシャル。
 「パピヨン」も再録。)
で大幅加筆されたんですね。
H シーンも含め。
(この本は店頭で買いました。)
 
 
「22XX完全版」の、
勝手な男と一途な少女といった、
2人のカンケイは(すいません、
私はそう感じました。)
「LaLa」掲載時は、
ほぼ、なかったんです。
 
 
ずっと後で、中古の「LaLa」を
手に入れた時に知ったのですが。
すごく衝撃をうけましたね。
 
 
 
もともと「22XX」は、
「月の子」連載時、
「月の子」と同時掲載で
「LaLa」に、120P
(だったと思う)前後編で
掲載されました。
 
 
 
清水先生はのちに語っています。

 
編集部「先生にとって、
当時少女漫画の定義とか枠
みたいなものはありましたか?
これ以上やっちゃったら
少女漫画じゃなくなっちゃう
みたいな。」
 
清水先生「それが破れたのは
「22XX」ですかね。
破れたというか、テーマが
きちんとしていれば
多少表現がグロテスクに
なってもいいのかなと
思い始めたんですね。」
 
文庫版「輝夜姫」14巻
/清水玲子・著
「清水玲子ロングインタビュー」
より引用 2008年。

 
 
今考えると、
「22XX」なくして、
「月の子」のあのラストは
なかったろう。
「月の子」のあのラストを
描くためには、
「22XX」が必要だった
のではないか?
 
今、私は勝手にそう思います。
 
 
 
 
 
 
 
白泉社文庫版
「22XX」全1巻 清水玲子(420P)
 
■『22XX』(1992年/1993年9月完全版)
■『世紀末に愛されて』(1986年)
■『夢のつづき』(1988年)
■『8月の長い夜』(1988年)
■ロボット考[擬態](1988年)
 
 
 
 

 
花とゆめコミックス版
「22XX」全1巻 清水玲子(180P)


【月詩Blog】2018.02.16 (Fri) より 
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